20150711
アメリ
July 11, 2015

” アメリが好きなことは、”感動”という大げさな言葉を使うほどのことではありませんでした。

 たとえば、食料品店の店先にある豆袋の中に手をそっと差し入れて、できるだけ奥まで差し込むこと。

 たとえば、サンマルタン運河の水面に平たい小石を投げて、水切りをすること。

 あるいは、スプーンの先でクレームブリュレのお焦げをグジャグジャにつぶすこと。

 どれも子供のころからずっと好きだったことです。そうすると、アメリはとても落ち着くのでした。”(『アメリ』イポリト・ベルナール=著、リトル・モア=刊)

 

 

ひさしぶりに『アメリ』を読み返していて、「わたしにも”アメリ的”なものってあるかな?」と考えた。人に教えるほどのことでもないけれど、いつだって自分を少し幸せにする、ささやかな喜びみたいなもの。

 

でも、すぐには思い浮かばなくて、結局2、3日ぐらい、ぼーっと考えていた。

 

わたしを落ち着かせるもの。
それは長い間続けていることだけれど、誰にも教えたことがないもの……。

 

混雑した駅を歩いていたときに、ここにいるみんなにもきっと、そんなささやかな楽しみがあるんだなあと思った。
そのほとんどは、誰かに伝えられることも、書き残されることもないかもしれない。
自分でも気がつかないぐらい、無意識にしていることだから……。

 

そんなことを考えながら、わたしにとっての、
「これはアメリ的と呼べるかも?」というものがいくつか思い浮かんだ。

 
 

 道に名前をつけたり、新しい道を歩いたり、お気に入りの道を増やしたりすること。駅から家までの道順を、その日の気分に合わせて選ぶこと。あと、いつもと違う駅で降りて、新鮮な道を歩いて帰ることも好き。

 

 音読すること。小説や、詩や、新聞記事などなんでも。携帯で録音して、自分の声を聞くこともある。ただし、家の中に誰もいないとき限定で。恥ずかしいので、録音もすぐ消しちゃう。

 

 名刺の大きさの紙に、色を塗ったり、絵を描いたりすること。一度に何十枚か続けて描くのが好き。他の人からみたら、全部同じに見えるかもしれないけど、わたしにとってはひとつひとつが全く違う。楽しいし、気持ちが落ち着く。

 

 果物のタネを植えること。去年レモンとアボカドのタネを植えてみたら、芽が出て、今もぐんぐん大きくなっている。この前リンゴを植えてみたら、こちらもすぐに芽が出て、順調に育っている。何年後になるかわからないけれど、実がなるときをとても楽しみにしている。あと、途方も無いほど先の話だけど、自分に孫ができたら、孫に収穫させてあげたりしたら楽しいなあと思っている。

 
 

……こんな感じ。これがわたしの、小さな楽しみ。

 

友だちや家族のアメリ的なことも知れたらうれしいな。